02. 可愛くない

泣かずに立ち去った女の子を見かけてから数日後。
女の子を見かけた男は声をかけた。



「毒なんて入ってねーから。食えって」

「………………」

「…………入ってねーッってんだろうが!」

「…………怪しい」

イライラが募る男と疑う少女。

疑り深い子供に、男はアイスを噛み付くように一口食べると、モゴモゴ言いながら
「ほら、大丈夫だろうが。溶ける前に食えって。俺のおごりだ!」

口の端にストロベリーアイスをつけた年上の男を見て、女の子は口をあんぐり。
「んなっ、な、な、な……」
「…………なんだよ?」

「人に渡す前に食べてんじゃないわよ!!」

「じゃあサッサと食えばいいだろうが!!」

「うるさい! マリモ頭!! あんたが先にアイス食べたら……。か、か、か、間接…………」

ボボボボ。
きょとんとしている男と耳まで真っ赤な少女。

少女はギロリと男を睨むと、「覚えてなさい!」と捨て台詞を残して駆け出した。
睨まれた理由がよくわからなかった男は仕方なく後ろ姿を見送った。

「可愛くないガキ」

手元に残ったストロベリーアイスを独りやけ気味にパクつく。



To Be Continued